先日、職業訓練校の入学許可が出たのでその流れなどについてまとめてみました。
なお、この記事を読むおススメのタイミングについてですが、
- 在職中だが転職を考えている
- 退職は決まったが、次がまだ決まっていない
- 退職した後で、現在次の仕事に向けて準備している
このような方には特に見ていただきたいです。
ちなみに私は③でしたが、それでも非常に重要な知識だったので記事にしています。
実際に申し込んだ時の流れなので、転職などお考えの方には参考になると思います。
わからない用語が出てくる部分については記事内でなるべく説明を入れるか、用語説明のリンクをしておきますので併せてご確認ください。
なお、さっそくですがよく聞く言葉で失業保険とあります。しかし厳密には雇用保険の中にある失業給付という制度の俗称が失業保険なのでそこだけご留意ください…
そもそも職業訓練って?
職業訓練という言葉自体は聞いたことがあっても、どのような制度なのか?という部分からお話ししていきます。
ものすごく簡単に言うとこういった制度です。
訓練校というのは制度に参画している団体の総称のようなもので、実際には『〇〇スクール』『〇〇アカデミー』という施設の教室に学校として通う形になります。
授業自体は科目や学校によって異なりますが、概ね平日10:00~16:00ぐらいが目安になります。
主管の厚生労働省では職業訓練について以下のように定義づけています。
労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるようにすることが、職業の安定及び労働者の地位の向上のために不可欠であるとともに、経済及び社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、この法律の規定による職業能力の開発及び向上の促進は、産業構造の変化、技術の進歩その他の経済的環境の変化による業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させ、及び転職に当たつての円滑な再就職に資するよう、労働者の職業生活設計に配慮しつつ、その職業生活の全期間を通じて段階的かつ体系的に行われることを基本理念とする。
職業能力開発促進法 第三条
ようは『知識や技術を身に付けた人がその力を発揮できれば経済発展につながるから、それを国として支援するよ』ってことですね。
そして国や都道府県としてはこうも言っています。
国及び都道府県は、事業主その他の関係者の自主的な努力を尊重しつつ、その実情に応じて必要な援助等を行うことにより事業主その他の関係者の行う職業訓練及び職業能力検定の振興並びにこれらの内容の充実並びに労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するために事業主の行う援助その他労働者が職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上を図ることを容易にするために事業主の講ずる措置等の奨励に努めるとともに、職業を転換しようとする労働者その他職業能力の開発及び向上について特に援助を必要とする者に対する職業訓練の実施、事業主、事業主の団体等により行われる職業訓練の状況等にかんがみ必要とされる職業訓練の実施、労働者が職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上を図ることを容易にするための援助、技能検定の円滑な実施等に努めなければならない。
職業能力開発促進法 第四条2項
『在職中だろうが求職中だろうが、能力開発の支援しますよ』ってことですね。
国の制度なので、あとから怖いお兄さんが出てきたりはないので安心です笑
公共職業訓練と『受講指示』『受講推薦』について
職業訓練には大きく分けて2つあります。
雇用保険の給付が受けられる人向け
雇用保険の給付が受けられない人がメイン
先に言っておきますが、公共職業訓練の場合は実質的に雇用保険の給付が受けられる方が優先対象ですが、求職者支援訓練については雇用保険の給付有無に関わらず申し込みが可能です。
公共職業訓練については以下の2つの方に向けての訓練です。
(アルバイト・正社員等の雇用形態の話ではない)
(会社都合の場合は6か月)
なお、訓練期間中に雇用保険給付期間が終了してしまう方は、受講指示という形であれば期間延長が可能です。
簡単に言ってしまえば、雇用保険の給付日数が入校日時点で何日残っているかによって受講指示になるかならないかが決まります。
自己都合の場合 | |
---|---|
給付日数 | 必要残日数 |
90日 | 31日以上 |
120日 | 41日以上 |
150日 | 51日以上 |
会社都合の場合 | |
---|---|
給付日数 | 必要残日数 |
90日 | 1日以上 |
120日 | 1日以上 |
150日 | 31日以上 |
180日 | 61日以上 |
210日 | 71日以上 |
240日 | 91日以上 |
270日 | 121日以上 |
300日 | 151日以上 |
330日 | 181日以上 |
360日 | 211日以上 |
自分の該当する給付日数に対して、訓練校に入校する時点での給付日数の残りが必要残日数以上であれば受講指示に該当するという考えです
※ハローワークの管轄によって判断基準が異なる恐れがあります。必ず受講指示になると保障するものではないので、詳しくはお住まいの管轄ハローワークに直接問い合わせてください。
他にも受講指示の場合は
- 交通費支給
- 受講手当(1日500円×40日、教科書代的なお金)
- 失業認定日が免除、活動実績は不要
といったメリットもあります。デメリットらしいデメリットは特にありません。
認定日とは、雇用保険の受給の資格があるかを審査される日の事です。また、活動実績とは雇用保険の受給資格に必要なものになります。詳しくは別に記事にまとめます。
受講指示にならなかった方は受講推薦、もしくは後述しますが要件を満たしかつ希望する場合は支援指示になります。そのまま受講推薦についても見ていきます。
簡単に言ってしまえば、受講指示にならなかった方が当てはまります。
メリット
デメリット
早い話が『雇用保険受給残日数で受講指示(=優先権)を得る』となります。
これは財源の問題で、雇用保険が支給されればそれだけ財源が減ります。
仮に給付日数が90日で月15万円分の給付があると仮定すれば、
財源を未使用だから、その分他の人より優先して学校通っていいよ。
30万円分使って期間中の保障はしてたんだから、①よりお金かかるじゃん。それで①と同じ条件だと不公平だから差をつけるね。自業自得でしょ。
少し乱暴な書き方ですが、お金が絡むのでここはシビアです。
また、希望する学科が毎月どのタイミングでどこでも開かれているわけではありませんし、場合によっては半年近く次のコースが開講されないケースもあります。
これが、冒頭でお話しした『この記事を読むタイミング』が重要という事です。
極端に言ってしまえば、
とりあえず転職したいから退職
↓
職業訓練の希望学科がしばらくない
↓
そうこうしている間に受講指示を受けられる期間終了
↓
人気コースで『受講指示』じゃないとなかなか受からない
↓
/(^o^)\ナンテコッタイ
なんて事態も起こりえます。のちほど詳細をお話ししますが、実際に私が受けた学科の倍率は2倍でした。
当然ですが雇用保険受給日数がなくなることで自身の収入はなくなってしまい貯金などは目減りしていく一方です。わりとこれはストレスです。
しかし在職中に職業訓練の話について知っていれば、退職するタイミングをずらすことで希望するコースが出てくるまで働けば少なくとも金銭的余裕は持ちやすくなります。
ちょっと脱線しましたが、受講推薦になるぐらいなら受講指示で受けられるように早めに準備したほうがいいでしょう。
求職者支援訓練と支援指示について
求職者支援訓練は主に雇用保険の給付対象外の方に向けてのコースになります。
厳密には雇用保険受給者が受けられないわけではありませんが、雇用保険受給者には公共職業訓練があるので求職者支援訓練においては優先順位は下がります。
また、公共職業訓練とは開講しているコースが異なるので「求職者支援訓練で見たコースを公共職業訓練として受ける』というのは不可です。
ではどんな人に向いているのでしょうか?
支援指示という条件を満たせば、10万円/月の職業訓練受講給付金と交通費をもらいながら求職者支援訓練に通う事も可能な制度です。
支援指示とは受講指示には該当しない人が、特定要件を満たしている事で職業訓練受講給付金(10万円/月)と交通費を受給しながら通える制度です。
受講指示に該当せず、なおかつ特定要件を満たしている場合の方に向けた制度です。
メリット
デメリット
支給要件
※ハローワークの管轄によって具体的判断基準が異なる恐れがあります。必ず支援指示になると保障するものではないので、詳しくはお住まいの管轄ハローワークに直接問い合わせてください。
求職者支援訓練における優先順位は、
支援指示 >= 受講指示 > 受講推薦
このようになります。
また、受講指示にはなってはいないものの、雇用保険の給付期間の場合に関しては支援指示になりません。
月単位で皆勤賞とありますが、月一でハローワークに就職支援で行く必要がありそこで職業訓練受講給付金の申請を毎月行います。寝坊などの私的理由で皆勤賞ではない場合は次の振込分が1回(1月分)まるまる消えるという事です。
皆勤賞の例外ケースは以下のようなのがあります。
※ハローワークの管轄によって判断基準が異なる恐れがあります。必ず認められると保障するものではないので、詳しくはお住まいの管轄ハローワークに直接問い合わせてください。
ここらへんは詳しいケースを挙げるときりがないので、お住まいの管轄ハローワークに直接聞いてみてください。
訓練の申し込み
実際の申し込みについては以下のような手順です。(管轄ハローワークによって若干の前後はあります)
- ハローワークへ行く
- 求職申込書を記入(事前にネットでも作れる)
- 職業相談を受けて、訓練を受けたい旨を伝える
- 訓練の案内を受ける
- 施設見学なども可能か聞く(場合によっては可)
- 申込書をもらってから作成
- 申込書をハローワークに提出
- ジョブカードの作成
- 訓練施設に自分でTELして面接設定
- 面接(場合によっては筆記有)
- 合否判定(郵送)
- 受かってたら最速でハローワークに行く
- 説明会に行く
- 訓練開始!!
申込み段階についての情報
求人申込書を作成
ネットで作成が可能です。記入例などもあります。
※面接ではここで書いたものが面接官のもとに届いています。私は求人申込書に書いた志望職種と面接で受けた時点での志望職種が異なっていたのですが、聞かれた内容は求人申込書に記載した志望職種について質問がメインでした。
施設見学
行ったほうがいいとは思います。ただ、日程の関係上で行けない場合などもあるかと思いますが特に気にしないで大丈夫です。ちなみに私は行っていません。
申込書について
訓練の申込書(パンフレットと一体になっています)はハローワークの訓練専用窓口でもらえます。こんな感じです。
また申込書に希望する訓練を受けたい動機を記入する欄などもあります。大体、8割程度は欄を埋めるようにしておきましょう。
それと申込には証明写真と返信用封筒(長型4号)、92円切手が必要になります。予め用意しておくと申込ぎりぎりでも楽になります。
面接日時の設定
自分で学校に電話して面接の申し込みをする必要があり、期日までに電話予約しないと申込書を提出していても辞退として扱われてしまいます。
ジョブカードの作成
ジョブカードという経歴書・自己PRの書類を作成する必要があり、キャリアコンサルティングに相談しながら志望動機などを添削してもらいつつブラッシュアップしていきます。
あとは実際に申し込めば面接です。
実際に申し込んでみた
私がそもそも初めてハローワークに行ったのが8/14で、雇用保険に関する合同説明会の案内を受けました。
そして8/28に合同説明回、そして初回認定日という日が9/12でこの日に初めて職業訓練について窓口で相談したら運よく締切日でなんとか滑り込みで申込というドタバタでした。
大体、2週目or3週目の水曜あたりが締切とのこと。(地区差などあるかもしれません)
初回認定日などについては、別の機会にお話しします。
そして面接は9/26で、結果発表は10/12以降となかなか時間が掛かるんですね。ただ、書類などの準備は難しいものではありませんので時間の余裕さえあればじっくり考えられる点で早めに情報だけでも窓口で聞いてみるのがおすすめです。
面接について
受かる為の大前提の話と、実際の質問についてまとめてみました。
あえて失礼な言い方をしますが、『無職の人=社会から離れている人』が受けるのでいろんな方がいます。
「自分はそうではないから」とスルーするのではなく、本当にあった話なので見てもらって何かの気付きになれば幸いです。
ある意味今回の話で一番重要な部分です。先に言っておきます。
スーツで行きましょう。
何を当たり前のこと言ってんだって思われる人もいるかもですが、考えてみてください。
職業訓練は財源によって知識や技術をほぼ無償、さらに人によっては生活保障の部分までついています。それはきちんと訓練で身に付けたことを基に社会で働く力を身に付ける為です。
つまり、『社会で働く意思があるよ』ってことを面接官に思ってもらわなければならないわけです。
実際に平成30年9月入校予定で東京の職業訓練のwebクリエータ科の応募状況は、定員30名に対し応募者103名と倍率が3.43倍です。
(参照:http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/kyushokusha-kunren/itaku/plan/index.html#boshuannai)
そして、相談窓口の方から言われたのが「人気がないコースだけでなく、卒業生の就職状況が悪い学科に関しても閉鎖されることはある」とのこと。
たしかに財源で運営している以上、職業訓練という制度がうまくいっているかは卒業生が社会復帰しているかしか判断基準がないのが事実で、入校してもらうならきちんと社会復帰できそうな人を選びたくなるのが面接官の心理でしょう。
さて日本という本音と建前がある社会において、「服装は自由です」と申込の電話で言われはしましたが面接にはどういった格好でいくのが正解でしょうか?
私なら間違いなく「スーツで行きましょう」と言います。
それでもいたんですよ。スーツじゃない人が…
面接質問内容は次のようなことを聞かれました。ちなみに時間は15分弱が目安ですね。(面接予定時刻が15分刻みの為)
なお私は独身だからか聞かれなかったのですが、ご家族がいらっしゃる方は『ご家族への説明・意見』といった部分や『(お子さんがいらっしゃる場合は)自宅で予習・復習は可能か』といった質問などもあったみたいです。
とはいうものの、すごい突拍子もない質問とかはないのできちんとした受け答えと「一問一答ではないので話題をこちらから広げる」ぐらいの話だと面接官と和気藹々で話が進められるんじゃないかと思います。
なお、私は当日電車の遅延の影響で面接の順番が入れ替わるというすごく気まずいことはありましたが、それでも受かったのでしっかりと落ち着いて受け答えしましょう。
合否判定とその後の流れ(説明会と振込について)
合否は郵送などで発表されます。9/26に面接受けて10/12に合否が届くという流れです。
合格の場合は入校許可書と申請書類各種が同封されています。それらを記入して一度ハローワークに行きます。
なお、同封書類の中に合同説明会(入校関連)の案内がありますが意外と間隔が短いのでご注意ください。
私の場合は10/12(金)に通知が届き、翌週の金曜が説明会でした。そして説明会前にハローワークに行って入校手続き関連をする必要があるので、面接などが入っている人は注意が必要です。
お金に関してですが雇用保険受給の場合と職業訓練受講給付金だともらえるタイミングに誤差があるようです。
雇用保険受給の場合だと、入校翌月の中旬頃に振り込まれます。一方で職業訓練受講給付金の場合だと、ハローワークに就職支援の為に指定された日に赴いて申請をしたのち一週間弱で振り込まれるとのことです。
いずれにせよ『入校したからすぐお金もらえる』ということではないので、なんにせよまずはハローワークに行くなりしていろいろ聞いてみましょう!